トップ アイコン 台湾の故宮博物館に収蔵されている銅牌飾は
斉家文化のものである。やはり斉家文化に銅牌飾は存在する トップ アイコン

 台湾の故宮博物館にトルコ石象嵌の銅牌飾があることを、初めて論文で紹介したのは台湾の黃翠梅博士で、論文の表題は「功能與源流:二里頭文化鑲松石銅牌飾研究」である。そのトルコ石象嵌の銅牌飾は2013年に台湾の国立故宮博物館に新しく収蔵されたもので、博士が2014年に便宜をはかって見せてもらったものだと書かれている。論文になったのは2015年の秋である。このものは考古学界に知られるようになった銅牌飾では、一番新しいものである。台湾の故宮博物館にあるトルコ石象嵌の銅牌飾は下の写真。
故宮博物館にあるトルコ石象嵌の銅牌飾
 
 論文の表題を日本語に訳せば「二里頭文化のトルコ石象嵌銅牌飾の研究」であるが、黃翠梅博士が初めて紹介した銅牌飾は、結論を先に言えば、二里頭文化の物ではなく斉家文化のものである。だからといってこのトルコ石象嵌の銅牌飾が二里頭文化に関係が無いわけではなく、このものは二里頭文化銅牌飾のルーツは斉家文化にあることを示している。

 台湾の国立故宮博物館収蔵の銅牌飾と同じ紋様のものは、今までに考古学者に知られた銅牌飾の中には全く無い。国立故宮博物館収蔵のものの紋様の特長は、下部に動物の頭部があり、更にその上部に角が変化した凹型紋様が載っている。凹型紋様が二つ重なっているように見えるが、下の凹型紋様は角のある動物の頭部である。このような紋様を凹型紋様と呼ぶことにするが、今までに論文で知られている銅牌飾の中に凹型紋様は無い。

 下の図は「功能與源流:二里頭文化鑲松石銅牌飾研究」の中に載っている図であるが、考古学者に知られている銅牌飾は①~③、⑤であってその中に凹型紋様は無い。その図の中の④が台湾国立故宮博物館収蔵の銅牌飾であり、それを黃翠梅博士は二里頭文化のものとしていて、二里頭文化の物が進化し紋様が退化し、簡素な模様になったとしている。しかし④以外に凹型紋様が無いのにそれも二里頭文化の物としているのはおかしい。そして考古学者には知られていない銅牌飾の中に凹型紋様の銅牌飾は沢山あるのである。


 例えば山東大学の王青博士の論文「紐約新見兩件鑲嵌銅牌飾辯僞」(☜をクリック)では、王青博士がニューヨークで見た二件は、二里頭文化のものと似ていないから偽物だと言っておられる。当然二里頭文化のものではいないとしている。王青博士の論文の理屈に従えば、黃翠梅博士が二里頭文化の物のとしたものは二里頭文化の物ではない、今まで知られている銅牌飾とは似ていないし、知られたものの中に凹型紋様は見当たらない。
山東大学の王青博士の論文載せられたもので
ニューヨークで見たものであるが偽物としている
黃翠梅博士の論文で
新しく紹介された物

 
しかし王青博士がニューヨークで見た二件は偽物ではない。なぜなら王青博士が偽物としたものや、黃翠梅博士が紹介した故宮博物館に収蔵されているものと、よく似た凹型紋様で他にも多数ある。
たとえば、2005年北京の嘉徳四季オークションに主品された物である。凹型の紋様が上にあり、下は目がある動物紋である。オークションの情報では戦国時代のものとしているが、それは疑わしいとも書いてある。

 凹型紋様はまだある。下の三個は下部の紋様が動物紋であること明瞭であるものである。そして左のものと中央のものは斉家文化のものである。であるからこの一連の凹型紋様のトルコ石象嵌の銅牌飾は斉家文化のものと考えられる。
 私の収集品で斉家文化のもの  北京の骨董屋のパンフ
レットに斉家文化のもの
と印刷されている
 中国語のネットで
画像検索すると
出てくるもの

 凹型紋様のトルコ石象嵌の銅牌飾の技工が更に発達した凹型紋様の銅牌飾も存在する。下の二個であるが、一個は台湾の台北のオークションに出品された物、もう一つは我孫子市のW氏の収集品で、この二つは驚くほど似ている。我孫子市のW氏の収集品は入手経過から斉家文化のものと考えられる。
2019年12月14日に台湾の
台北市のトレジャーアートの
オークションに出品されたもの
我孫子市のW氏の収集品

 下の物は青銅器ではなく玉器である。斉家文化の玉器にも凹型紋様がある。青銅器と玉器で全く同じ紋様があるのは斉家文化だけである。下の如く斉家文化の玉器の中には、動物紋様だけのものと、動物紋の上に更に凹型の角を重ねた紋様もある。これこそ台湾の故宮博物館にある銅牌飾の原型であって、故宮博物館にある凹型紋様の銅牌飾は斉家文化のものである。なお下の玉器の写真は我孫子市のW氏から送っていただいたもので、W氏の収集品は北京の斉家文化を扱う骨董屋から購入したものだと思われる。


 斉家文化の玉器に動物紋様が出現し、角の部分が二重になり、その紋様が青銅器に移行し、台湾の故宮博物館に収蔵されているものに紋様が伝播し、台北でオークションに主品されたもののように高度な工芸の技術が進歩したものになったのではないだろうか。

 斉家文化の玉器 斉家文化の青銅器  台湾の故宮博物館に収蔵されているもの 2019年12月に台湾の台北市のオークションに出品されたもの
 W氏の収集品  私の収集品


  下の銅牌飾は凹型紋様の銅牌飾でかどうかは、定かではないが斉家文化のものである。しかし多くの考古学者は斉家文化に銅牌飾があることを知らない様なのである。下の銅牌飾は中国語のネットで探し出したのものだが、この中国語のページ(☜クリック)で確認できる。中国の甘粛省臨夏回族自治州の広河県阿力麻土郷から出土したものである。凹型紋様があるようどうかは確認できないが、目が下にある動物紋様があることは上の殆んどの写真と同じである。


 そしてこれは「斉家文化のトルコ石象嵌の銅牌飾」であると、ハッキリと説明文に書いてある。説明では更に「斉家文化の銅牌飾は二里頭文化の物より古いものであって、芸術、歴史、考古学的価値については結うまでもないことであて、夏文化(二里頭文化)についての研究に重要な意義がある」と書かれている。


 しかしながら上の写真の銅牌飾は論文に取り上げられた様子が無い。最初に紹介した台湾の黃翠梅博士の論文にも登場していない。だから多くの考古学者は斉家文化に銅牌飾が存在することを知らない。ネットで調べると考古学者に知られていないトルコ石象嵌の銅牌飾が沢山在るのにである。

 斉家文化に銅牌飾は存在し、斉家文化の銅牌飾は夏王朝の二里頭遺跡の銅牌飾とよく似ていて、斉家文化の銅牌飾は夏王朝の二里頭遺跡の銅牌飾のルーツなのである。




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