私のアンダーソン土器が「開運なんでも鑑定団」に出られなかった訳


 私はアンダーソン土器をたくさん集めたので、そのうちの一つを開運なんでも鑑定団で鑑定してもらおうと考えて応募した。その結果なんでも鑑定団から出演する日も伝えられたが、直前になって、なんでも鑑定団のスタッフから出演をご遠慮いただきたいというようなこと言われて出演できなくなった。理由を聞いてみると、私の収集品が出品されることによって、なんでも鑑定団に盗掘品が出品されたという風評被害が起きるのを恐れがあるとのことのようだった。中国では2017年に文化財保護法のようなものが出たので、とかも言っていた。私の収集品は見ただけでは盗掘品であるかなどとは決して分かるはずがないと思うのだけれど。これは中国の骨董屋から買ったものである。

 

この土器が日本でアンダーソン土器と言われるのは、スエ―デンのアンダーソン博士がこの種の土器を中国で最初に発見し、そのことを日本の骨董屋が知って、アンダーソン土器と名付けたらしい。しかし本場の中国の骨董屋でアンダーソン土器と言っても全く通じない。アンダーソン土器とは日本の骨董屋が、勝手につけた名前であるからである。中国では土器という言葉も無く、上のような土器でも「彩陶」と言うのである。 

 上の壺の紋様は、アンダーソン博士の著書「黄土高原」にも載っていて、首の無い蛙とのことだった。博士の戦前に発行され著書が、日本語に訳されていて、古くて黄色くなっている本を購入したのである。その著書に依ればアンダーソン博士は1924年(100年前)にこの壺を発掘したらしい。

 

私の壺の紋様はアンダーソン博士も見ていたのである。そんなエピソードも添えて、なんでも鑑定団に応募したが、なんでも鑑定団への出品はかなわなかったなんでも鑑定団では、盗掘品が出品されたという風評被害が起きるのを恐れているようだったが、そもそも中国で土器の盗掘を引き起こしたのは元はと言えばアンダーソン博士なのである。そのことは「黄土高原」に書かれている。

今から100年も前、アンダーソン博士は黄河上流の甘粛省方面に発掘調査に出かけた。しかし発掘の成果が余り無かったので、甘粛省蘭州の牧師に子供集めてもらい、教会に通う子供に、土器があったらそれを買い取りたいと伝えた。すると壺を持った農民が続々と集まってきた。最初に集まってきた壺は、家におかれていたもののようだったが、そのうち土の中から掘り出されたばかりの土の付いたままの壺が持ちこまれるようになった。そんな壺を抱えた農民がアンダーソン博士の宿舎の前に列を作るまでになった。それで博士は、彩紋のきれいなもの、欠けていないものを選んで数百個もの彩文のある土器を買い取ることができた。

 その後、博士は助士にそれらの土器が出土する遺跡を探させた。しかし博士たちがそこに到達してみると、そこは大盗掘の終わった後だったのある。そこに書かれている大盗掘の様子は、「我々は四囲が完全に見渡せる高所に到達した。そうしてそこで大盗掘の跡をまざまざと見ることができた。掘り返された土の中には、蘭州で購入したと同種の立派な彩色土器片がそこここに散乱していた。多数の土器が土の圧力によって、墓中でつぶされ、また百姓どもがこの貴重な古墳墓をあらそって発掘したが為に壊されてしまったことは、疑をはさむ余地はなかった。狡知にたけた回教徒どもは1フィート位の鉄製探桿子によって、地中を浚え驚くべき正確さをもって、地表下1m以内にある副葬墓を掘り出していったのである」とある。この遺跡は半山遺跡である。この盗掘をした百姓どものことを博士は回教徒と書いておられる。その回教徒の姓は殆どが馬で、マーと読み、回教の教祖マホメットのマーからきているものだとも書かれている。

一方私のアンダーソン土器は北京の骨董屋の回教徒の馬さん(複数の)から買ったものである。北京の骨董市場でアンダーソン土器を扱っている骨董屋または売人の姓は、殆どが「馬」という回教徒の回族だった。名刺を呉れるから分かるのである。彼らの出身地を聞いているとアンダーソン博士が数々の遺跡を発見した辺りの、つまりアンダーソン土器が出土する辺りの出身者だった。

アンダーソン博士がアンダーソン土器を発見した辺りの住民は、回族の馬さんであり、そこから1300kmくらいも離れている北京の骨董市場でアンダーソン土器を売っているのも、回族の馬さんである。おそらく同郷の少数民族の回族で、アンダーソン土器が出土するあたりから、1300㎞も離れた北京にまで、出土物を運んでくるルートがあると感えられる。アンダーソン土器は北京の巨大な北京の骨董市場・潘家園古骨董市場に、なんの注意書きも無く、勿論盗掘品などとの表示も無く並べられている。



私が出品しようとしてアンダーソン土器が盗掘品だと恐れられるなら、今後なんでも鑑定団にはアンダーソン土器は出品されないだろう。ただし贋作なら出品されるだろう。贋作なら盗掘品とは考えられないからである。私が出品しようとしたアンダーソン土器は、なんでも鑑定団は本物だと考えて、盗掘品かもしれないと恐れたのだろ


以上





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