北京グルメ旅行-2

  グルメ旅行と称しているが、実は買い物旅行であり音楽鑑賞の旅であった。しかし意識がグルメの写真を撮ることにあったので、他の光景の写真まで気が回らなかった。例えば広大な潘家園の骨董市場の雑然とした写真を撮らずに終わってしまった。その理由は、潘家園がとても寒いのと、良い出物を買いたいということに、意識が行き過ぎてしまったせいでもある。

  実は、最後のロシアレストランで、素晴らしい歌を聴いて気分が高揚して、ウオッカを何杯も飲んでしまい、そのせいでその晩、急に胃が痛くなってしまったのだが、そのウオッカのグラスの写真を撮っておけば、もっとその場の雰囲気のある写真が撮れたのにと、あとで思った。そのレストランにはグルジアのワインもあって、そのボトルの写真も撮っておきたかったのだが。
  


国子監の隣にある、冬枯れの孔廟へ。



孔廟



疲れたのでおしゃれな喫茶店で一休み。国子監・孔廟がある通りは
入り口付近は抹香臭い仏具店が多いが、奥に進むとなかなかおしゃれな店もある。



ワインを温めたホットワイン。フルーツが入っていて美味しかった。



明か清の時代から? の伝統があるという砂鍋居へ。人気が有るので行列ができていた。
場所は西単の北にあって、西四というところにある。



砂鍋居の名物料理は“砂鍋白肉”。ある本の説明に“砂鍋白肉”は、小さな鍋に白菜や春雨、
豚肉などを入れて煮込んだ料理とあったが、この説明は間違いである。鍋は必ず土鍋で
なくてはならず、白菜ではなくて、酸白菜という白菜の漬物を使う。乳酸発酵をして酸っぱくなった
白菜である。“白肉”と言うのは豚の脂身のことである。ところで“砂鍋白肉”の味であるが、
酸白菜の漬け方が少ないので酸っぱさが足りなくて、肉は脂身ではなく三枚肉程度の脂身しか
含まれていなかった。日本では豚の脂身は料理に出てこなないが、中国では豚の脂身
チャンとた料理である。しかし本来東北地方の田舎の料理である。



砂鍋居の店の中の様子。二階には宴会用の個室もある。



茄子と豚肉の甘酢煮か? 甘酢っぱさがなかなかいける。
下に見える紅紫色のタレは、砂鍋白肉を食べる為のタレ。腐乳とか胡麻ダレが
ベースのタレらしい。このタレはお好みで注文し、注文しなくてもいい。腐乳とは?
豆腐を発酵させた調味料である。



こっちの砂鍋は、“いろいろなものが入った砂鍋”という料理である。



胡瓜の甘酢漬け、なかなか美味しい。



朝の食事。ワンタンスープに油条を浸して食べた。



これは北京の名物で、「炒肝」という料理で、豚の肝臓だけではなくほかの内臓も
煮込んで、片栗粉のあんを絡めた、庶民の為の料理。



潘家園の骨董市場に行く。入り口の前に狼の毛皮などを売る回族の売人が
たむろしていた。白い帽子を被っているので、甘粛省辺りから出稼ぎに
来ている回教徒らしい。取締りをする“城監”という組織の人達がいて、
この売人と対峙していたが、残念ながらその写真は撮れなかった。



潘家園の骨董市場の中の、印鑑を彫ってくれるところ。寒さが伝わってこないが
実に寒いのである。厳寒の季節であった。



平場にアンダーソン土器や斉家文化の玉器などの新石器時代の出土物が
並ベられていた。遺跡からの出土物が無造作に売られているなんて、
日本ではチョッと考えられない。土器のほうは大部分が本物だと思う。



北京では有名な東来順の羊のシャブシャブ料理。
日本でも羊のシャブシャブを食べたが、本場のほうが数段美味かった。
理由は羊肉と胡麻ダレの違いと思われる。羊肉は薄くスライスされたその薄さがいいの
かもしれない。
東来順といっても本店ではなく、潘家園の骨董市場の近くの東来順
とにかく美味しかった。



これは北京の名物料理で、“麻豆腐”と言うもの。豆腐は使われていなくて、麻婆豆腐でもない
麻豆腐は、緑豆から春雨を作る際に出る緑豆のおからを、羊の油で炒めた料理である。
チョッとくせはあるが、なかなかこくがあって美味しいのである。



お腹が一杯になったので、骨董市場に引き返し、顔見知りの売人のところに行く。
名前は「マー・ハッサン」という回族の回教徒である。「マー」とは「馬」と書くが
元々はマホメットのことではないかと思う。イスラム教らしい名前である。
そして「マー・ハッサン」の住みかに行く。すると出土品のアンダーソン土器が棚に
ずらっと並べてあった。



中央はアンダーソン土器のうちの「馬家窯文化馬廠類型」といわれる時期に属する土器。
実は「マー・ハッサン」の出身地の甘粛省臨夏市の周辺では、古代生物の化石や
古代の玉(ぎょく)器も出土する。




なかなか綺麗なので「マー・ハッサン」からこれを購入する。「馬家窯文化馬廠類型」
土器で「馬廠類型」の特徴のある文様である。しかしこれを買って帰ると必ず家族から
苦情が出る。これは日本語で土器であるが、中国語には土器と言う言葉はなく、
彩色がある土器のことを中国語で「彩陶」という。



別の甘粛省臨夏市出身の回族の別の馬(マー)さんのところに行き、
斉家文化の銅器と玉器を購入。写真は
トルコ石象嵌の人面紋の玉器である。



ディナーは北京の西の方にあるロシア料理店に行く。レストランの
名前はキエフ餐庁という名前なのでウクライナ料理店かもしれない。
店の中はこんな感じ。この店には以前何回も行ったことがある。



ウクライナ人かロシア人かのソリストが歌を歌いながら、席の近くまで来て歌う。



これはキエフサラダと言うもので、普通のポテトサラダのようであった。



トマトの茄子巻き。外側はスライスした茄子で巻いてある。



鶏肉のミートパイ詰めをバターをかけて、オーブンで焼いた料理。ボリュームがあって、
メインディっシュは二人でこれだけで十分であった。付け合せはビーツと
玉ねぎ。玉ねぎまで赤いのはビーツのせいである。



ロシア料理にお決まりのボルシチ。カップに書かれているのはキエフ餐庁と
の意味だが、この漢字を読んで発音しても、とてもキエフのこととは思えない。



ポテトの肉詰め料理。名前は? 忘れたがジャガイモを刳り抜いて、クリーム味の
肉を詰めたもの。美味しかったが、ボリュームがあるので食べ残してしまった。



男性のソリスト達



女性のソリスト達



ボルガの船曳歌などを歌ってもらうと、素晴らしくボリュームのあるバスの声で歌ってくれる。


オールスターメンバー。歌手が6人、アコーデオン弾きが2人。このメンバーに
“鶴”と言う歌を、コーラスで歌ってもらったのだが、その歌にははとても感動した。
声も、ボリュームも、繊細さも、編曲も素晴らしかった。
コーラスは一曲80元。目の前に来て、我々のためにだけ歌ってくれるのだから
感動ものである。感動のあまりウオッカを飲みすぎて、その晩胃が痛くなってしまった。



歌の感動の余韻を引きずって、タクシーでは帰らず、雪の中を地下鉄と徒歩で帰った。
雪の長安街で。



南池子街の夜の雪の風景



雪の朝の東華門大街。左は泊まったホテル。



雪の朝の東華門。この写真を撮ってからタクシーで空港へ。帰国。







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