北京の胡同(フートン)や大雑院


胡同(フートン)とは北京の古い街の路地のことである。胡同(フートン)にある
住宅にはトイレが無い。それで胡同には何十メートルおきに共同トイレがある。
その共同トイレは一応水洗になっているが、隔壁も無い所むき出しのトイレが多い。
ところで中国人はどちらを向いて用をたすか。
トイレの構造をよく見れば分かるが、日本人の尻のむけ方と方向が違う。
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下の共同トイレには一応隔壁があるが、扉は無い。中国人はどの方向で
用を足すかというと、尻は奥に向けて、顔は通路側に向けて用をたすのである。
従って下のような共同トイレの構造でば対面式になる。
朝などは「おはよう」などと言いながら胡同の住人は仲良く用を足すのだろうか。
しかし中国人は、「おはよう」等の挨拶の言葉は殆ど使わない。
だから多分ここでも、物の値段の情報を交換をしながら用をたすのかもしれない。



これが共同の外観。多分手を洗う設備は無い。その洗わない手のままで、
焼肉の串を差すのだと考えると、羊の焼き串は美味しのだけれども食欲が
減退する。八百屋の売り物の野菜がトイレの壁に積んである。
日本人の感覚からすると、チョットと言う感じである。



これが並木のある胡同。この胡同は私が住んでいた牛街の近くにあった。
もしここに雪でも降って「雪の胡同」とでもなれば、なかなか趣のある光景となる。
但し、北京の冬はいつも乾燥していて、雪が降ることは少ない。
この胡同は「南半裁胡同」であったか、「七井胡同」であったか? 
胡同には名前が付いているところが多い。



ここも私が住んでいた牛街に近い胡同だが、なんだか雑然としていて汚い。
家は狭いのでて自転車などは門の中に置けず通路にしか置けない。
画面の左にレンガが積まれているのが見えるとが、胡同の住人は近くに
家の解体があると、レンガを拾ってきて貯めておくのである。
貯めたレンガは何に使うかと言うと、家の建て増しに使うのである。
その家の建て増しは、おそらく違法建築になるのじゃないだろうか
ここに見える道に張り出している建物も、勝手に増築した建物だと思う。



多くの胡同には名前が付いていて、ここは 七井胡同である。
由緒がありそうな感じもする。



ここも由緒がありそうな南半裁という胡同。私が住んでいた牛街に近い。



胡同に向けて口を明けている門。南半截胡同の7号にある昔の紹興会館。
ここの入り口の上に四個の丸い飾りがあることや、入り口の右側に半円形の石が
あることから、この門はかなり由緒あるものであることがわかる。
紹興会館は魯迅が『狂人日記』や『孔乙己』などをここで書いたと言われている。
しかし 宣武区文物保護単位となっているのだが相当荒れ果てている。
中は数家族が雑居する大雑院となってしまっている。屋敷の中に数家族が
線居していて雑居している状態を、大雑院と言うのである。



ここも大雑院となってしまった「院」の門である。「院」とは出入り口が一つだけの
壁に囲まれた窓もない閉鎖された住居空間である。「院」とは日本語で言えば
屋敷と言ってもいいのかもしれないが、その屋敷は、昔、一家族が住む屋敷で
あったらしい。しかし文化大革命の大混乱などの時期に、数家族が入り込み
増築して住むようになってしまった。このように数家族が雑居する院を「大雑院」 と言う。
胡同にある家は殆ど院の中にある。従って胡同に向かって空いている入口は
家の入り口ではなく、院の門である。家の入口は院の中にあるのである。



大雑院に何家族が住んでいるかは、写真の上の電気のメーターを数えると
分かる。大雑院には十家族以上が、庭に増築したりして住むようになったため、
中庭は無くなり、自転車も中に置ききれなくなってしまった。



大雑院になってしまった院の中。この通路は胡同ではない。一般的に院の中には
中庭があったのだが、建て増しをしたりして、通路さえも細くなってしまった。
洗濯物はその細くなった通路に乾さなければならない。中央の入り口がある部分は
、建て増しされて部分である。レンガの色で建てられた時代が分かる。
昔のレンガは灰色なのである。中国語では青レンガとお言うらしい。
最近のレンガは殆どが赤煉瓦である。



下の門は大雑院になっていない院の門で、個人の院だと思う。
大雑院になっていない院の門ほ閉じられているが、
大雑院になってしまった門は数家族が出入りするので、門を閉じることもできない。
門の扉も無くなってしまった大雑院の門も多い。胡同に面する壁だけは
オリンピックの前にこの同一の色で塗り直した。この院は保護院とか書かれていて、
建物が保護の対象なのだろう。



ここも大雑院になっていない個人の院だろう。扉が閉じられている。



ここも個人の院だろう。扉が閉じられている。しかしあまり補修がされて
いないようである。



下は「四号院」と言われる院である。四合院とは、中央に中庭があり、東西南北に家屋が
あって、中庭を囲んでいる院の形式である。この建物は日本で言えば戦前からの
建物だろう。四号院には本来はこのように中庭があったのであるが、この中庭まで
増築が進み、雑居化され大雑院になった四合院が多い。この四号院も左側に多少
増築がされているが中央の中庭は残されている。この写真はたまたま周囲の取り壊しが進み、
この家だけが露わになってたので、写真が撮れたのである。
大雑院になっていない四号院の写真は隠れていてなかなか撮れない。



この院も雑居化していない四合院である。この四号院も瓦を見ると古い建物で
あることが分かる。四合院には古い樹が残されていて、何故か樹は保護されていいるようである。
この院は私が住んでいた牛街のすぐ近くにあった。



ここは康有為と言う人が住んでいたところで、文物保護単位と表示されている。
しかし保護するつもりがあるのか無いのか、内部はひどい状態である。



康有為は清朝末の学者で、日本の明治維新のような立憲君主制の改革を
進めたのだが、失敗してしまう。康有為の故居の保護が進んでいないのは、
この人物の評価が、現在の共産党の評価と合わないので、
保護もされないのかもしれない。それでここも大雑院化したままである。



康有為の故居を入った直ぐの内部。何故か庭の樹は切り倒されることも無く、
樹を取り囲んであばら家が増築がされている。院の中の樹は何故か
切り倒さないようである。樹を切り倒さないで増築するのが不思議である。



康有為の故居の長屋門の裏側



康有為の故居の中。人が住んでいないのかな? 
上の写真の建物には洗濯物が見えるので人が住んでいる。



ここが胡同(フートン)である。つまり北京の古い街の路地である。
家の中は狭いせいか、胡同でトランプなどをやっている。



胡同の鋳掛屋。



鍋の底をカシメて取り替えていた。



この院は結構地位が高かった人の家かもしれない。何故なら入り口までに
石段があり、その数が多い。多いほど身分が高かったのだとか。
個人の持ち物であるから花など飾れるのだろう。



ここも由緒があり保護に値する住宅なのかもしれない。「防火重点院」とあり
「保護単位」とも書かれているのでそうなのだろう。しかし電気のメーターが多数ある
ことからこの中で大勢の家族が雑居しているのだろう。共同の門となってしまうと
メンテナンスが出来ないようである。



これも北京の胡同で見る不思議な光景で、樹を切り倒さないで
違法と思われる増築がされ、道幅を狭めている。



樹を囲んで建物を建ててしまっている。樹を切るのは違法で、建物を増設するのは
違法ではないのだろうか。だからコンナ珍風景になるのだろうか。



樹を挟んで樹のの両側に増築。違反ではないらしいのか。



扉に、個人の家だから覗かないでくれと、中国語と英語で書かれている。
この中には荒れ果てていない古い四号院が残っているのかもしれない。
大雑院になっていない四号院は少ないのである。だから外国人も
扉が開いていれば覗きたくなるのだろう。



これが胡同



胡同でトランプをする人たち



清潔にされている院の中



この中には電気のメーターを数えると六世帯が生活しているらしい。



リヤカーでの練炭売り。胡同の住人の煮炊きと冬の暖房には練炭を使う。
胡同の住人に取って、練炭は重要な熱源である。



普通の胡同の様に見えるが、日本人の常識から見れば普通ではない。
胡同の壁に薄い部屋が増設されている。院の持ち主が中から外に向けて
増設したのではなく、誰かが外から薄い部屋を張り付けたのである。



これも胡同の壁に貼り付けるようにして、作られた薄い部屋。誰がどのような
権利があって、こんな部屋を胡同に張り付けたのか? 違法ではないのか?
不思議な部屋である。



これも扉があって窓もあって人が住める部屋である。
奥行きが非常に狭いのであるが。作ってしまった人の勝ちとでもいうのだろうか。



ここは観光用に開放されている四号院。昔は満州族の貴族が住む四号院だった
のだが、やはり大雑院になってしまっていたらしい。この院の権利は貴族の末裔の
人にあるらしいのだが、雑居の家族を追い出すには、多額の金が必要だったのだとか



観光用に開放されている四号院で、綺麗に修復されている。



観光用ではない普通の四号院で、修復されていなければこんなものらしい。



ここも個人の四号院で、大雑院になっていない。軒下に大量の練炭が貯められて
いることに注意。練炭は胡同の住民にとって今も必要不可欠なのである。



このマークは何なのか? 折と言う文字を丸で囲んである。
ここを取り壊すから早く立ち退けと言うマークの様である。警告しているのかもしれない。




この家も○に折のマークだらけ。実は折の字は中国語では取り壊すと言う意味でなく、
分解すると言うような意味である。北京の胡同の家はレンガで出来ているから、一つ一つの
レンガに分解するのが本当の意味である。この家も間もなくレンガに折(チャイと読む)
されてしまう運命である。



胡同には○に折の字だらけ。北京では古い胡同の取り壊しが進んでいて
この胡同も間もなく消えてなくなるのである。






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